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【北京=川越一】失脚した中国共産党の元最高指導部メンバー、周永康?前政治局常務委員(71)とその家族が、900億元相当の財産を当局に押収されたと報じられた。事実とすれば、日本円にして「約1兆5千億円」という莫大な資産を、いかにして周氏らは懐に収めたのか-。そこには疑惑の3つのルートが存在した。
香港フェニックステレビ(電子版)などは、周氏を取り巻く「腐敗権力ネットワーク」を図で解説。その“金脈”は、1999年から2002年まで党委員会書記を務めた「四川省ルート」、中国石油天然ガス総公司社長などを務めた「石油部門ルート」、公安相のほか治安?司法部門を統括する党政法委書記を務めた「公安ルート」に大別されている。
周氏周辺で最初に調査の網にかかったのは四川省ルートだった。12年12月、周氏の側近だった李春城?省党委副書記の取り調べが始まり、「職務上の便宜を利用し、多額の賄賂を受け取った」として、党籍剥奪、公職からの追放といった処分が下された。四川省関連ではこのほか、酒造メーカーや不動産関連事業などを手掛ける企業グループ「四川漢龍集団」、電子技術系の国有企業などの幹部が次々に調査対象となった。
続いて13年夏からは石油部門ルートに移行。周氏は国有企業トップを務めた経歴を利用し、不正蓄財を重ねていったとされる。
当局はまず、中国石油天然ガス集団(CNPC)の王永春副社長、蒋潔敏?国有資産監督管理委員会主任らを標的に。周氏に関係が深いとされていた2人は、調査開始から約1年後の今年7月、中国最高人民検察院(最高検)に収賄罪で立件された。
昨年末には、周氏の政法委書記時代の腹心、李東生?公安省次官が「重大な規律違反の疑い」で解任され、公安ルートにも調査が進展した。その前後から、周氏の家族や親族も当局に連行され始めており、徐々に“本丸”に近づいていった様子がうかがえる。
中国メディアによると、周氏の家族は、周氏の政治的な影響力を背景に石油、不動産、金融などの分野で事業を展開、巨額の利益を得ていた。今後は党籍剥奪はもとより、家族や親族が関わった汚職に絡み、周氏本人の刑事責任が追及される可能性も否定できない