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ロイター 10月24日(水)17時46分配信
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10月24日、KDDIと住友商事は、ジュピターテレコム(JCOM)を共同で買収すると発表した。JCOM株を1株11万円で公開買付(TOB)する。都内のKDDI本社で2008年11月撮影(2012年 ロイター) |
[東京 24日 ロイター] KDDI<9433.T>と住友商事<8053.T>は24日、ケーブルテレビ(CATV)国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)<4817.OS>と同業2位のジャパンケーブルネット(JCN、東京都中央区)を、2013年秋をめどに経営統合させると発表した。
統合後の新会社の加入世帯数は計約480万(JCOM:約370万、JCN:約110万)となり、シェア50%超を握る。統合でコンテンツ拡充やコスト削減を図り経営基盤を強化する。放送と通信の融合が加速する中、KDDIは傘下のCATV2社を統合することで顧客基盤も拡大。映像・番組配信を拡充するとともに、CATV、光回線、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)などを一体化したサービスの品質向上につなげ、競合するNTT<9432.T>グループに対抗する。
JCOMは現在、住商が39.98%、KDDIは30.71%を出資。住商とKDDIはまず、SPC(特定目的会社)を通じた株式公開買い付け(TOB)により、JCOM株を最大2160億円で取得。両社で折半出資とし、現在ジャスダックに上場するJCOMは来年夏をめどに上場廃止とする。その後、来秋にはKDDIが現在95.6%を出資するJCNをJCOMに統合させる予定。新生JCOMの社長は現社長が続投し、KDDIから新たに会長を迎え、共同CEO(最高経営責任者)体制とする。14年1月以降は住商が会長を、KDDIが社長をそれぞれ指名する。
KDDIは一連のスキームを通じて最終的に約500億円の現金を手にする。JCOMとJCNの統合効果により800億円のコスト削減も目指す。新生JCOMはKDDIの連結対象となり、KDDIの連結売上高は4兆円、営業利益は6000億円超となる見通し。KDDIの高橋諏焺栅希玻慈栅位嵋姢恰⒔窕丐谓y合は同社が推進する多種多様なコンテンツやサービスをあらゆる端末で利用できる「3M戦略」の強化につながると強調。新生JCOMの連結化も「(JCOMが)事業参画するモチベーションの点からもプラスになる」と述べた。
住商の大沢善雄専務は、昨年末から統合についてKDDIと議論を重ねてきたことを明かし、JCOMの成長にとってKDDIとの共同経営は最善であり、JCOMの非上場化で「株価を気にせず思い切った経営が可能になる」ほか、KDDIとの折半出資で「非常に安定した経営ができる」と語った。住商は将来的にJCOMのノウハウを活用し、アジアのメディア市場進出も検討する。
<TOB価格は1株11万円、来年2月上旬の開始予定>
JCOMへのTOB価格は1株11万円。TOB価格は買収報道の影響を受ける直前の10月19日の終値8万2700円に対して約33.0%のプレミアムが付いている。ただ、報道後に株価が上がり、23日の終値11万2700円に対しては約2.4%ディスカウントした金額となっている。
KDDIと住商は国内外の競争法に基づく必要な手続きなどを終え、来年2月上旬頃までにはTOB開始を目指す。買付期間は原則30営業日を予定しており、3月末には完了したい考え。JCOMは24日に開催した取締役会で、TOBが開始された場合に賛同の意見表明を行うほか、株主などに対してはTOBに応募することを推奨する決議を行った。
JCOMの財務アドバイザー(FA)は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、住商はゴールドマン・サックス証券、KDDIはJPモルガン証券がそれぞれFAとなっている。
(ロイターニュース 清水律子、白木真紀;編集 内田慎一)