９月２４日、夕方５時から６時までの空。大型台風が静岡に直撃した翌々日、散歩に出かけると空がすっかり秋の色になっていた。
　最近雲の写真を撮ることが多い。東西南北、見る方向によって雲の様子が全く違うことがある。見事な夕焼けをあわてて追いかけても、見晴らしのいい場所にたどり着くまでにすっかり色が褪せてしまったりする。空の様子は刻一刻と変化し、一瞬たりとも同じ姿はない。
　私たちは目の前の事物を認識するとき、その多くを過去の記憶や経験に頼る。記憶や経験によって、事物や人に対する印象や判断、感覚など、固定化された概念を形成する。しかし実際のところ、世の中の事物は、空の雲のように一時として同じものはない。常に流れ、移り変わる。昨日の私は今日には存在せず、明日の私は今日の私と同じではない。













　最後の一枚は、水が引いた後の泥のひび割れ。河川敷の公園は台風のときすっかり水に浸かって、植え込みにはゴミや木の枝が引っかかり、大木は腕が折れ、泥や砂や小石がアスファルトの道にたまり、サッカーのゴールポストはひっくり返り、グラウンドはでこぼこに荒れ果てた。
　それでも、倒れたコスモスには花が咲いていた。