旅行から1ヶ月半経ち、だんだん記憶が薄れていきます。早く記録しないと…。
北京では、昔留学していた首都師範大学(当時の名称は北京師範学院)を訪れてみました。
今では留学生担当の事務員も教師も宿舎の門番も皆、知ってる人は誰もいません。ただ外から建物を眺めるだけの訪問でしたが、外観は当時のまま残っており、たいへん懐かしい思いで校内を散策しました。
首都師範大学の校舎は当時からレトロなたたずまいだと言われ、文化大革命を扱った中国映画のロケ地にもなるほどでしたが、そのレンガ造りの校舎がまだそのまま残っています。春になると赤いレンガを背景に、校内中に柳絮と呼ばれるポプラの白い綿が雪のようにふわふわと舞いとても幻想的な光景だったことを思い出しました。
当時、留学生は中国人学生と同じその赤レンガの建物に住んでいました。宿舎の棟は幾つもあって、留学生は専用の棟に隔離されてはいましたが、設備等の生活条件は同じでした。一階の出入り口脇の小部屋に管理人が昼夜詰めていて、人の出入りをきっちりとチェックするので、自由な交流が妨げられていたという見方もできますが、安全面という点からすれば、管理がきちっとしていて守られているという安心感が強くありました。管理人は退職者の(おそらく警察関係の)気のいい親父で、厳しい反面、融通も効いて、若く世間知らずの各国留学生たちのわがままによく上手く対処していたものだと、今振り返ると、そう思います。
現在の首都師範大学の留学生は大学の校内に住んでいません。というか、留学生はすべて、首都師範大学から歩いて10分ほどの所にある首都師範大学国際文化学院で学んでいます。そちらにも寄ってみましたが、ガラス張りの近代的で立派なビルに圧倒されました。学内には一般の人も宿泊できる設備の整ったホテルがあり、留学生はそのホテルに滞在します。フロントには門番ならぬ、制服を着た綺麗なお姉さんが二人いて、にこやかに対応してくれました。留学生の生活は昔よりずっと便利で住み心地良くなったでしょうが、少々味気ない感じもします。
ちなみに、学内のホテルの一般旅行者向け料金はスタンダードツイン300元(4200円)、スイート450元(6300円)でした。留学生の宿泊費は別立てです。
国際文化学院の建物よりこのレンガ造りの建物の方がずっと素敵だと思うのだけれど、やっぱりここでも“昔の情緒”と“近代的であること”の相克を思いました。急激に変化する今の中国の価値観が将来どこに落ち着くのか、振り返ると日本も通ってきた道であるのかもしれませんが、中国の場合は多くの物事が極端な幅に振れがちで、“力づく”ということに躊躇しないし、しかも一旦走り始めると巨大な体躯にブレーキを掛けるのが難しいし、などと考えると、未来を図りかねます。
さて、北京首都師範大学からの帰途、夫がふと通り沿いのマッサージ店に目を留め、入ってみることにしました。二人ともくたくたに疲れていたので。
“仙人掌康休城”
住所:北京市西三環北路97号(花園橋西北角)
予約電話:010-68422519
私たちは中医推拿(中医マッサージ)というコースを頼みました。普段だと60分80元(1120円)ですが、ちょうどキャンペーン中で割引価格の68元(952円)でした。
あとで、夫に
「どうしてあのお店に入ろうと思ったの?入ったことのないマッサージ店て不安じゃない?」
と聞いたところ、
「表の看板に盲人って書いてあったから。盲人がやってるなら本格的だと思って。」
とのことでした。
実際は、私の担当の女性は盲人ではありませんでしたが。夫を担当した盲人の男性は、大学で学んだとのこと。女性の方は大学ではないけれど、専門学校のようなところで勉強したそうです。
最近中国旅行をした知り合いが、ホテルでマッサージを頼んだけれど、ただ体を撫でるような感じで全然効かなかったと言っていました。マッサージと言っても体の表面をマッサージする美容的なものと、医学的な理論に基づいて筋肉などを芯からほぐす本格的なマッサージとがあるようです。本格的なマッサージを受けたい時は、「中医推拿」を探すといいかもしれません。中医とは、漢方などを含む中国医学のことです。
このお店では他にも、「足療」とか「踩背(背中を踏む)」とか「足浴」など、いろいろなコースがありました。
体中がほぐれてとても軽くなりました。気持ちよかった。疲れもすっかり取れました。